……ねぇ、怜佑?
あたしはこっそりと目だけを動かして隣を見上げた。
寒そうにマフラーに半分埋めた顔。
いつも通りの気だるそうな目。
そんなアイツに、つい訊いてみたくなる。
──アンタは今、あたしがどんな気持ちでいるか知ってる?
なんでもない顔してアンタの隣にいるあたしの覚悟なんて、アンタは知る由もないよね。
「あ!」
とその時、突然叫んだ怜佑にあたしはつられるようにビクッとした。
「え、なに!?」
「やばい。俺傘持ってきてへんやん。梓ー、もっとはよ教えろや。もう駅ついてまうし……どうしよ」
「……もー、そんなこと? 驚かせないでよ」
何かもっと重大な問題が発生したのかと思ったじゃん。