「べ、別に? 怜佑遅いから早く来ないかなぁって」
「はぁ? 今集合時間1分前やけど?」
「へ? あれぇおかしいなぁ〜」
「……朝から変なヤツやなぁ」
もー最悪ぅ。
待ち合わせしてたの忘れてたよ。
「ほら、行くで」
「う、うん」
先に歩き始めた怜佑に遅れないよう、あたしは慌てて足を進めた。
「それにしても寒いなぁ」
「うん……今日午後から雪降るらしいね」
「うそやん、マジで? こんな天気いいのに?」
「マジよ。しかも、結構降るらしいって。アンタ天気予報見てなかったの?」
びっくりして目を丸くする怜佑の顔に、あたしはふふっと吹き出す。
──こうやって二人で肩を並べて登校するのも、何回目なんだろうな。
数えたことないから正確にはわかんないけど。
数え切れないほど、たくさんだよね。
当たり前みたいにあたしの隣に怜佑がいて、当たり前みたいになんでもない話をして。
今日だってその、当たり前の延長のはずなのに……。
こんなにドキドキする通学路は、初めてだよ。