「わっ……さっむ〜い」


よく晴れた朝。

ガチャッと玄関のドアを開け外に出ると、冷たい風が一気に肌を突き刺した。


「……はぁ」


落ち着け、あたし。

さっきから……いや、昨日からずっとバクバクと胸が煩いくらいに鳴ってる。


だって今日は──……。


2月14日、木曜日。

バレンタインデー当日。

いよいよ決戦の時がやってきたんだから。


例のものは鞄の中にちゃあんと忍ばせてある。

昨日は部活も休みで速攻家に帰ったあたしは、すぐに今日のための準備を始めた。

練習の成果もあってか、作ったものは我ながら上出来。ラッピングも自分なりにしっかり可愛くできたと思う。

だからあとはもう……信じて渡すのみ。


……なんだけど。

やっぱり、緊張しちゃうよね。


何年も続けてきた〝幼なじみ〟という関係が、今日変わっちゃうかもしれないんだ。

アイツの答えがあたしにとってプラスでも、マイナスでも。