「美保ちゃん、お互い頑張ろうね!」
にっこりと笑って手を差し出した。
先に好きになったからって、それが偉いわけではない。
誰かと同じ人を好きになっちゃいけない、なんてルールもない。
誰だっていつだって、自由に恋する権利があるとあたしは思うから。
その権利を、他の誰かが奪っていいわけないんだ。
……なんて言ったって。
「バレンタインは、年に一度の乙女が主役の日なんだから、ね?」
あたしがそう言うと、美保ちゃんは少し驚いたような顔をしてから手を取ってくれた。
「梓先輩って、面白いですね」
なんて、可笑しそうに笑いながら。