「お疲れさまです」

「おー、音無やん。お疲れ」


……なんであたし、隠れたんだろう。


部活の先輩後輩なんだから、あいさつするのは普通のはずなのに。

心臓が、うるさくてたまらない。


「あのぉ、滝川先輩にちょっと質問なんですけど」


次に聞こえてきた声は、そんな甘い声だった。


……質問ってなんだろ。

女のあたしでも可愛いって思っちゃうような声にドキリとして、身体が勝手に向きを変える。


「先輩って、甘いものとかお好きですか?」

「……まあ、好きやけど」

「ホントですか……! じゃあ例えばなんですけど、マカロンとかは……?」

「あー、あれけっこう美味しいよな」


マカロン……?

美保ちゃん、たしかこの前部活で持ってきてたよね……。

──あっ。