「じゃ、よろしくな」
「はーい」
ナツのヤツ……。
普段抜けてるしおちゃらけてるけど、こうやってちゃーんと部長やってるんだよねー。
「梓ちゃん、行こー!」
「え? あっ、そっか」
そうだそうだ、次は移動教室なんだった。
教科書たちを抱えてあたしの前に現れたなずなを見て、やっと思い出した。
するとその時。
「吉野ー、はよせな置いてくぞー」
向こうから聞こえてきた声。
反射的にその方へ振り向くと、廊下から窓のサッシに腕を乗せてこっちを見る怜佑と、その隣でいつも通りのクールな表情でちらりと目線を向ける憐くんの姿が目に入った。
……怜佑、喜んでくれるかな。
ドキドキとその様子を見守っていると、
「ちょっ、怜佑、憐待って!」
ナツがそう声を飛ばしながら、慌てて自分の席まで走っていった。
「なずなお待たせ。行こっ」
「うん」
……よし、頑張ろ!
切り替えたあたしは、なずなと一緒に理科室へと向かった。