「っ……!」


店を出た瞬間、あたしは外の空気の冷たさにびっくりして身を縮めた。

ずっと温かい店の中にいたからか、余計に寒く感じて仕方ない。


「うぅぅ、寒すぎ……」


堪らずマフラーを口元までズラす。

次の瞬間。


「「うわあっ!」」


あたしは悲鳴に似た声を上げた。

というのも、誰かに後ろから肩を叩かれたからで。


な、何?


そろり、身構えながら振り向くと──。




「ナツ!?」

「吉野!?」



なぜか不思議なことに、〝ナツ〟こと、吉野(よしの)夏樹(なつき)がそこにいた。



「仲良くデートですか~?」


ニヤニヤ目を三日月にする彼は、同じクラスのサッカー部部長の男の子。

明るい髪とシンクロするように、その性格はまるで太陽みたいだ。


そんな彼が、あたしとほとんど変わらない身長に悩んで、毎日たくさん牛乳を飲んでるってことは、ここだけの話。


あ、そうそう。

ちなみに怜佑もナツと同じサッカー部の一員で、あたしは、そのマネージャーをしてたりする。

怜佑のやつ、サッカーやってる時はキラキラしてて、悔しいけどちょっとかっこいいのよね。


……って。

悠長に説明してる場合じゃなかった!