「なずな、一緒に頑張ろーね!」

「うん!」


俄然燃えてきた。

なずなは恋人に、あたしは片想いの相手にだからちょっと訳は違うけど。

でも、なずなと一緒に頑張るって思ったら心強い。


「で? 王子の好みは?」

「あんまり甘いものは食べないって。……ビターだったらいけるかな?」

「いけるいける」


というより、心配しなくてもなずなの手作りだったらなんでも食べるでしょ、あの人。


「滝川くんは?」

「んー……アイツは、好き嫌いとか特にないからなぁ」


逆に難しい。

毎年同じだとちょっとアレな気がするから、風変わりするように作るものは変えてるんだけど……。


「どうしよう。何作ったらいいかまだ決めてないんだよねー」

「……梓ちゃん、知ってるかな?」

「ん?」


きょとんと首を傾げたあたし。

そんなあたしに、なずながぎゅっと握り拳を作って言った。