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持ってきていたお弁当を食べ、いざ学校を出発したあたしたち。

電車に揺られること約20分、他愛のない会話で笑ってたら、いつの間にか目的地のデパートまで着いていた。



「わあ、すごいね」


中に入るなり目に入った光景に、声を上げてしまう。

さすがバレンタイン直前。

店内はハートの装飾や色んなチョコレートでいっぱいだ。


あ〜なに作ろうかな〜。


ソワソワと辺りを見渡していると、どういうわけかほんのりピンクに頬を染めたなずながあたしに近づいた。


「梓ちゃんは滝川くんに毎年あげてるよね、チョコ」

「ん? まあねー。って言っても、ただのお決まりごとみたいな感じなんだけどね……」


やっぱり渡したいから渡してるけど、このチョコは本命なのーなんてそんなの言えなくて。

多分怜佑は、あたしからのチョコを幼なじみからの〝毎年恒例の物〟くらいにしか捉えてないんじゃないかな。


現に去年なんて、

『おー、ありがとう! いっつも悪いな』

ってノートを貸してあげた時みたいな反応だったし……。


うわ、考えててちょっと切なくなってきた。