「もう、そんな悩むんやったら両方買ったら?」


……両方?

サラリと出された提案に、瞬きをする。

うーん、両方かー。

確かに、どっちも食べたいけど。



「2個は、さすがに罪悪感が湧くし……」

「それやったら──」


しょんぼり肩を落としたあたし。

そんなあたしの耳に届いたのは、いつもと変わらぬ素っ気ない口調。

……だったんだけど。



「ほ、ほんとにっ!?」


あたしはそれを聞いた瞬間、思わず素っ頓狂な声を上げてしまったんだ。


だって、


『それやったら、俺と半分にしたらいーやん』


って。


怜佑が言ったんだよ!

あの怜佑が!


怜佑はいつも口が悪くて、冷たいのが基本スタイル。

だからたまーにこんな優しいところを見せられたら、ね?