──片付けを終えたあと、あたしを含めた女子マネージャーたちは、着替えのために校舎1階の演習室へと移動した。

男子は、部室で更衣。

あたしたちの部では、そのあたりのことをきちんとしている。



「すごーい! これ、手作り!?」


不意に、感嘆のような声。

何かな?

ジャージを畳みながら視線を向けると、そこには着替えを済ませた1年生の集まりができていた。



「美保ちゃんって、ほんと女子力高いよね」


どうやら、中心にいるのは音無美保ちゃんらしい。


チョコレートマカロン……かな?

机に置かれた箱の中には、彼女が作ったらしいそれが5つ、おいしそうに並べられていた。



「これね、バレンタインに向けた練習で作ったものなんだけど、よかったらみんなで食べて?」


得意げに、ショートカットの茶髪を耳にかける美保ちゃん。


「いいのー!?」


差し出された箱の中身は、あっという間に空っぽになってしまった。