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放課後は、まっすぐグランドに向かうと決まっている。

そして今日も寒空の下、ウインドブレーカーに身を包んだあたしは。


「いけー! そうよ、その調子ーっ!」


黄色いメガホンを片手に、少し興奮気味に声を張り上げる。



「ワアアァっ!」


とその瞬間、大きな歓声が響いた。


乱れるゴールネット。

激しく回転するサッカーボール。


誰かが、豪快なシュートを決めたのだ。


「やるじゃん、王子!」


あたしが声を高くすると、隣のなずなは「うん」と笑ってみせた。

それも、ちょっぴり恥ずかしそうに頬を染めて。


……ほんと、いつまで経っても初々しいんだから。


そう、さっきのゴールは、まさに今朝話題に出ていたなずなの彼氏──高月(たかつき)憐(れん)くんのお手柄だった。


〝王子〟というのは、あたしが勝手につけた愛称で。

6月の文化祭以来、なずなと話す時は彼をそんなふうに呼んでいる。

その時クラス劇で演じた王子様役が、ぴったりだったからっていうのはもちろん。

リアルに〝なずなの王子様〟っていう意味も、ちゃーんと込めてね。



──ピッ、ピッ、ピーーーッ!


憐くんが得点をキメてから、約5分後。

グラウンドにホイッスルが鳴り響いた。