「はあ? 黒板消しぃ? なんやそれ」
「だ、だから! 黒板がキレイな方が、先生も絶対気持ちよく授業ができるでしょ? で、頑張らなきゃなーって。……はは」
ダメだ、我ながらムリがある!
「お前……やっぱり今日、変やぞ」
ギクッ。
不思議そうに顔を歪める怜佑に。
「な、何が?」
ドキリ視線の定まらないあたし。
……ああもう、何でこんなタイミングの悪い時に帰ってくんのよ、バカ怜佑ぇー!
ほどなくして。
「まー、頑張ってな」
怜佑はあたしの肩をポンと叩き、席へと戻っていった。
……はぁ。
とりあえず、ごまかせた、かな?
「梓ちゃん」
「ん?」
「わ、私も手伝うから」
「うん……ありがとね、なずな」
この日、2年4組の黒板は、一日中どの教室のそれと比べても、一際眩しかった。