バレンタインに怜佑に告白しようか悩んでる。

言い終えるや否や、なずなの顔はみるみるうちに紅潮していった。

あたしはじっとその反応を待つ。

すると。


「梓ちゃんならいけるよ!」


なずなは興奮気味にそう言って、あたしの手を取り握りしめた。

その目は、キラキラと輝いて見える。


「そう、かな」

「そうだよ。あの、私、応援するから!」

「でも……」


そう言ってもらえるのは、すっごく嬉しいし、ありがたい、けど。


無垢な瞳から逃げるように、うつむく。


「いろいろ考えたら、やっぱりなんか、決意が揺らいじゃうっていうかぁ」


あはは、と力なく笑う。


しばらくして、あたしの手はそっと解放された。

流れる沈黙。

チラリ、目線を上げてみると。


「あのね梓ちゃん」


目に映ったのは、息を呑むほど真剣な表情で。

同時に、いつもより力強い声が耳に届いた。


「私ね。梓ちゃんには、どうしても後悔してほしくないの。憐くんとのこと……。頑張れたのは、梓ちゃんのおかげだし……」

「……っ」

「今度は私がついてる。だから、自分の恋も、頑張ってほしいな」


……なずな。


「私じゃ、頼りないかもだけど」


頼りない?

ううん、そんなことない。

全然、そんなことないよ。