「梓ちゃん、大丈夫?」


潤んだ大きなまん丸おめめ。

心配そうに垂れた眉。

目の前に、一人の天使が舞い降りた。


「なずなぁ~」


いてもたってもいられず、その天使に縋りつく。


「よ、よかったら、話聞くよ?」


……ああ、やっぱり天使だよ、この子!

あたしは目を輝かせて両手を組んだ。


この天使……いや、一ノ瀬(いちのせ)なずなは、あたしの大親友で、同じサッカー部のマネージャー。

ゆるふわの長い髪が、彼女の愛らしい雰囲気によく似合っている。


えっとぉ……。


よし、まだ来てないわね。

確認したあたしは、口許に手を当て。


「実はね……?」


こっそりと、声をひそめながら話し始めた。