「帰り、二人でどっか寄るか?」


気づいた時にはそんな言葉が口から出とった。

自分でもびっくりする。

こんなん柄じゃないのに、なんなんやろな。


……けどまあ。

今日はお前が言う大事な日ってことで、たまにはこういうのもいいってことにしといたるか。


「え、行く! ねぇねぇ、それってデート!?」


俺の言葉に一瞬驚いたかと思ったら、またわかりやすく声を弾ませた梓に「おう」と短く返す。

今日は短縮授業やし部活も休みやから、ちょうどいいやろ。


「やったー。あたし、実は怜佑と行きたいとこあったんだ〜」

「へぇ。じゃあそこ行こか。俺は別にどこでもいいし」

「……あ、待って。そこは今度にしてもいい?」

「ん、別にいいけど」

「や、でもなぁー……」