「ったく、こんだけ俺を悩ませるんお前だけやぞ」
「なっ。なにそれどういう意味!?」
どういう意味も何も、得体の知れん感情にさせてくるヤツが悪いんやからな。
「ぬいぐるみもいいけど」
「え──」
「本物も忘れんなや?」
「っ!?」
カッと大きく開かれた瞼。
一点に定まらず左右に揺れる瞳。
じぃっと見つめる内に、その頬は熱でも出したかのように真っ赤に染っていって。
「……う、うん? えぇっ!?」
「はよせな遅れるでー」
固まったまま動かん梓にそう言い残し、スタスタと歩いていく。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…