気づかんまま他のやつと付き合うんも癪やからわからせようと思って告ったら、俺の事が好きって?


そんな素振りあった?

……いや、俺が見逃しとっただけかもしれんけど。

やっぱり、この女だけはわからん。

わからんことが嫌なはずやのに、嫌やと思わん自分が一番わからん。


こいつのせいで、俺の人生狂わされるとか……。

まあ、そんな人生も悪くないか。



……そんなことを考えてたら、いつの間にか朝になっとった。


「れーいすけ!」


身支度を済ませて家を出たら見慣れた顔に声をかけられ、立ち止まる。


「梓。お前朝から元気やな」

「んふふ。だってね〜」


そうやって語尾に音符をつける梓。


今回ばかりはわかる。

こいつが、いつもよりご機嫌なわけが。