アイツはアイツで俺とそう見えるのが嫌なんか知らんけど、ものすごい勢いで否定するし。
それがムカつくから俺も否定するし。
なんでムカつくんかも、わからんし。
俺らの関係ってなんなんやろ。
幼なじみってだけじゃあかんの?
……考えたら頭がおかしくなりそうやから、考えんようにした。
それが、あの日──バレンタインの日、名前のない感情の正体に気づいた。
アイツに好きな人がおる。
そう思ったら、今までに感じたことのない感情が心を埋めて。ああ俺ってこんな気持ちになることってあるんやって、自分でも驚いた。
お前の隣におるんは俺やろ。
俺以外の男と楽しそうにすんなや。
こんなん誰でもわかる、独占欲。
──俺はアイツのことが好きやったんや。