荒ぶる想いを噛み締めながら、あたしは「ふぅん」と口を尖らせてみせる。


「ってかなんやねん、そんなん訊いて意味あるんか」

「別にぃ？　彼女と思われてなかったら嫌だなって思っただけ」


不満そうな怜佑に、だからもう安心よと笑う。

なのに怜佑は、そんなあたしが気に食わなかったみたい。


「お前なぁ……アホなん？」


呆れたように眉間に皺を寄せて……って。


「えっ」


はぁ、と深い溜め息が放たれたかと思えば、ぎゅっと強く握られた手。

そのまま一気に引き寄せられ──。


「っ!?」


額に柔らかい何かが触れた。