「梓、帰るぞ」 「あ、うん!」 一つの疑問が芽生えたその時、不思議そうな顔が目の前に現れて、急いで荷物を肩にかけた。 「どうしたん?」 「えっと……」 なにもないよと言おうとしたけど、言えなくて。 「ねぇ、怜佑」 代わりにこっそり囁くように見つめてみる。 あたしは、気づいてしまったんだ。 昨日怜佑は、あたしのことが好きって言ってくれて。 あたしも勿論、怜佑が好きで。 両想いになった。 だけど。