「っ、ちゃうねんって」
「何が違うのよー。嬉しくないってアンタが言ったんでしょ？」
「あーもう、うるさいんじゃボケぇ！」
──え？
腕が引っ張られた……と思ったら。
「ほんま腹立つ」
「……ねぇ、行動と台詞が合ってなくない？」
だってあたし、怜佑に抱きしめられて……。
「はぁ……」
「な、なに？」
……どういうこと？
ドキドキと鼓動が加速する中聞こえてきた深いため息に、あたしは慌てたように声を上げる。
ただでさえ長身の怜佑の胸の中。
その上頭を抱えられてるせいで、確かめようにも表情が全く見えないんだもん。
「ね、ねえ、怜佑──」
「ちょいちょい、そこのバカップル。公衆の面前でなーにやってんの」
「「……っ!?」」
妙に聞き慣れた声が耳に飛び込んで来ると同時、あたしは思い切り怜佑の身体を突き飛ばしていた。
