夢のようなバレンタインデーが幕を閉じ、2月15日の朝がやってきた。


6時半のアラームで目を覚まし、洗面所で顔を洗い、制服に着替え、暖房の効いた部屋で朝食を食べる。

昨日までと何一つ変わらない、平凡な冬の一日の始まり……のはずなのに。


……なんていうか、いつもとちょっぴり違うような、そんな感覚がする。


だって、今日は──。



「……おう」

「怜佑! おはよ」


長年片想いしてきたアイツと両想いになってから迎える、初めての朝なんだから。


「ねぇ怜佑。期末あと5日だよー、どうしよう」

「そりゃあ勉強するしかないやろ」

「……うわ、冷た〜」


そんなふうに他愛のない会話をしながら、いつもの電車に乗る。

話すのは昨日までと全然変わらない内容。

だけど、内心はドキドキを隠すので精一杯。


……だなんて。そんなこと、怜佑には絶対言わないけどね。