「一応、美味しくできたつもり」
中には、あたしの自信作が入ってる。
〝あなたのことが大好き〟
そんな想いを込めて作ったチョコレートドーナツだ。
「ね、わかってくれた?」
「……なんやねんもう。俺が勘違いしとっただけなんか……」
ふいっと髪を掴みながらむこうを向いてしまった怜佑に、自然と笑みがこぼれる。
……怜佑のやつ。
チョコを渡さなかったから、あたしが他の人が好きだと思ったのね?
ちょっと可笑しい。
でもこの勘違いがなかったら、あたしのことが好きだって気づかなかったかもしれないのか……。
そう思いながら見つめていると。
「……梓」
「ん?」
「ありがとう……」
「っ!」
小さな声だっただけれど、確かに響いたそれに目を見張って言葉を失ってしまった。
「どういたしまして」
……そういうの、苦手なくせに。
嬉しい。