「喜んでるの!」


勢い任せに飛びつく。


これでわかってくれるかな?

ちょっとだけ期待したけど、この鈍感男はやっぱり本物だった。


「なんやねん。お前、好きな奴できたんちゃうん?」


って。


合ってることは合ってるけど。


だからそれはアンタなんだって!

叫びたい気持ちを何とか抑え、あたしはやれやれと溜め息を落とす。



「バカ。あたしの好きな人、怜佑だから」


それ以外考えられないでしょ、と呟いたら怜佑は漫画みたいに驚いた顔をした。


「でも、俺にはチョコ──」

「はい」


スッと右手を伸ばして、紙袋を差し出す。


「アンタの分。……後であげようと思ってたんだからね」


あたしがそう言うと、怜佑はまだ混乱した様子で受け取ってくれた。