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「ありがとうございました。失礼いたします」
面談が終わり、伊勢谷先生に挨拶すると母と教室を出た。
廊下には次に面談を受ける架里奈と、それから架里奈のお母さんがいた。
「こんにちは、うららのお母さん」
「こんにちは」
「お疲れ、うらら。あたしも言ってくるね」
「……うん、また明日」
架里奈に別れを告げ、学校を出る。
母と二人、駅に向かう。
こうやって親子二人で並んで歩いたのっていつぶりだろう。
「驚いた」
「!」
「まさか、成績下から数えた方がはやいなんてね?」
「…………」
「数学においては赤点とって追試受けたんだってね?」
「……ごめんなさい。黙ってて」
「ほんと、うららは」
呆れた様子の母を見て心がズキズキと痛む。
できの悪い娘でごめん。
「伊勢谷先生もおっしゃってたけど、追試は合格したそうじゃない。雅くんに勉強教わったんだって?」
「あ……うん」