「なるほど。そうきたか」


なぜか納得する架里奈。


「先手必勝ってわけね」

「せんて??」

「まあ、そのくらいのハンデないとあいつには勝ち目ないもん。強敵すぎて」


なんの話をしているの!?


「……当の本人は、こんなに無自覚なんだもんねぇ」

「え? わたし??」

「なんでもなーい」

「えぇ!?」

「てかさぁ」


ケラケラと笑っていた架里奈が、突如真面目な顔で見つめてくる。


「航太くんとか呼んでるし」

「え? うん」

「朝ずっと喋ってたね。二人で」

「……? そうだね」

「うららは、それでいいの?」

「なにが?」

「田村と一緒に雅くんと知らない女のこと応援なんてしていいの?」


架里奈にそういわれて大きく胸が鼓動した。

それがなぜかはわからない。

だけどわたしはたしかに動揺していた。


「上手くできるかは、わからないけど」

「する気はあるんだ?」

「……あるよ?」

「そっかそっかー。ほんと面白いことになりそう」

「??」

「はやくあの完璧男が余裕なくなるとこ見てみたい」


お兄ちゃんが余裕をなくすなんてありえるのかな?


「たしかに人混みは苦手みたいだけど、いつだって余裕だよ?」

「そういう問題じゃないってば」

「……?」

「日曜日、なんだかんだ、あたしが一番楽しみそうな気しかしない」


そういって架里奈は満面の笑みを見せた。