「航太くん……好きな子誘うの?」

「は?」

「ほら。身近に気になる子がいるって、さっき言ってたから」

「…………」

「航太くん?」

「いや、違う。普通に友達」

「そっか」

「きっとめちゃくちゃ喜ぶよ。なにがなんでも予定あけてくるんじゃないかな」

「……そんなに?」

「なにせその子、お前のにーちゃんのこと大好きだから」

「!」


兄のこと好きな子がいてもなんら不思議じゃない。

よくきく話だ。

だけど、どういうわけか胸がざわつく。


「そうだ。ひとつお願いしていいかな」

「お願い?」

「二人のこと取りもってやって欲しいんだ。うららからも」

「……!!」

「これ、あとで俺から政次と架里奈にも頼んでみるわ」

「取りもつ……って?」

「そうだな。二人で同じアトラクションに乗せてやったり、二人きりの場面作ってやるとかかな」


その子と兄を二人で観覧車に乗せたりしようってこと?


「どうした?」

「あっ……わかった。それとなく、そうしてみる」

「サンキュ。俺がそういう空気作ったとき、自然にのっかってくれればいいだけだから。なにも難しくないよ」

「そう……かな」

「ああ。よろしく頼む」