架里奈が席に戻っていく。


「ってことで。日曜よろしくな」と航太くん。

「こちらこそっ!」

「うららは、絶叫系とか好き?」

「えっ……いや、実は、苦手なの」

「そうなの? それでも行くんだ?」

「楽しそうだなって思って。せっかくの機会無駄にしたくないし……土曜日眠れるかなぁ」

「遠足前の小学生か」

「いやほんと、そんな気分だよ? 遠出するの初めてだもん。でもお兄ちゃんがついてきてくれるからお母さんも安心して見送ってくれると思う」

「保護者かよ、来栖雅は」


航太くんのツッコミはキレッキレだ。


「てか、今更だけどさぁ。同級生なのに、にーちゃんって呼んでるんだ?」

「お兄ちゃんは4月生まれでわたしが3月生まれだから、ほぼ一歳差なの」

「なるほどな」


あと数日遅く生まれていれば、わたしは今日、この教室にはいなかった。

架里奈とも永浜くんとも、それから航太くんとも出逢ってなかったわけで。

伊勢谷先生にだって受け持ってもらわなかっただろう。


巡り合わせって奇跡だと思う。