「仕事は本当。でも会おうと思えたら会えた。ごめん」


「どう、いう意味?」


「まきが見たのは、後輩。あいつ、人との距離考えないやつで、すぐ引き剥がしたんだけど、きっとその前にまきに見られてるってことだろうな」

ボソッと結人がつぶやく。


















__________昨日。



「先輩!お久しぶりです~」


「突然すまんな、カタログ見たいなんていって」

「いいえ~!結人先輩のためならいくらでも!」

と言って後輩、沢田は腕を組んでくる。

「で?なんでここなんですか?」

「資料集め、つか離れろ」

組んでいる腕を剥がす。

「彼女さんに見つかったらやばいですもんねぇー?あ、未来の奥さんかぁ」



ベタベタと人との距離を縮めるのはこいつの長所でもあるが短所でもある。


「沢田に頼んだのが間違いだったかなー」

「えー?ちゃんと仕事はしますよ~」

資料集めを終え、沢田から例のカタログを貰う。


「じゃあ近々、店行くわ」

「はーい待ってまーす」

沢田とは分かれ、


「まき、怒ってるかなー…」



半分嘘で、デートをドタキャンしているから怒っているだろう。

まきにメッセージを送る。


しかし、いくら待っても返事が来ることは無かった。


____これが昨日起こった出来事である。






















「資料ってなんですか」

まきが怒ったような、悲しんでいるような顔でこちらを見ながら聞く。





俺は観念した。



ゴソゴソとかばんから資料とカタログを出す。


「これだよ」


「……え……?」


まきに資料とカタログを手渡す。

帰ってきたらゆっくり読もうと思っていた、指輪のカタログと結婚雑誌だ。


「サプライズと思って、こっそり用意してた」


「な、なんで……」

まきは、涙をポロポロと流した。


「したいからだろ。結婚」

「……っ……ふっ……うぅっ」

まきの目からどんどん涙が溢れてくる。


俺は、思わず抱きしめた。


「こんな形でいうと思ってなかったけど、俺と結婚してください」







「っ……はいっ」