お互いそのまま見つめあったまま、動けなかった。
観念したように、結人が呟く。
「忙しくて会う時間ないから?」
あまりに切ない顔をする結人を前に、
このまま、この人を自分のつまらない意地で手を離していいんだろうか。
今までも、ケンカして仲直りして、ここまでやってきたんじゃないんだろうか?
浮気をしてるかしてないかはこの際置いておいて、話し合うことはちゃんとした方がいいんじゃないんだろうか。
ぐるぐる、巡る。
「昨日、」
「ん?」
二人ともベットに座る。
「駅前で結人見かけた」
「ん?あ、あー」
結人の顔色が変わる。
そして、少しめんどくさそうに口を開く。