その場で飲むつもりなんてなかったのに、音を立てないように静かにペットボトルの蓋を開ける。


そしてベンチに座ったまま器用に眠る王子の少し開けた隣へ腰をかける。

(ふふふ、キモいな、私)

と、その瞬間


バタン



「……えっ…?!」




大声が出そうになった口を慌てて抑える


(ま、まさかでしょ!?)


座ったまま寝てると思われた王子が、あろうことか倒れてきたのである。

そう、まさかの膝枕状態だ。


(いや、私的にはおいしい。おいしいやつだけどね!?)

見ているだけだった王子が自分の膝枕で寝ているのだ。

心臓が破裂しそう。

(髪の毛サラサラだな)