それからはなにも接触もなく、
図書室でも姿を探してみたけどあの日以来会うことはなくて
(ちぇ。あの時だけか。)
もう季節は変わろうとしていた。
「あーさむ。」
いつも通り放課後、図書室へ向かいながら次に借りる本を考えながら歩いていた。
(寒すぎるから温かい飲み物でも……)
「うわ……」
自販機の横にいたのはまさかの、理系王子だった。
だがしかし、彼は目を瞑って寝ているらしい。
「キレーな寝顔。」
なかなかに拝めない寝顔を眺めながらゆったりとした動作で、飲み物を買う。
買う飲み物なんて、決まってるのに今更悩む振りなんてして。
(我ながら、乙女)