そっと立ち上がったはずが、立ちくらみを起こし王子の座っている方に身体が傾き、あろう事か、王子にぶつかってしまった。


「うわぁ…あ、す、す、すみません!」

「……、うんだいじょーぶ」

かなりの棒読み……だったけど、大きな被害はなかったようで。


「そっちこそだいじょーぶ?」



「へ?あ、全然大丈夫です!!本当にすみません、お怪我とかないですか?」

「うんへーき」

大丈夫なようだった。


「良かったです。」

気まずいのと恥ずかしいので、会話を続けられるはずもなく私はいそいそとカウンターへ向かった。


(はぁーなにやってんだか。王子様にぶつかるとかありえないから。)