人形を目の前にかざして見る。とても他人には見せられない出来ばえだが、つながってさえいればいいのだ。
もう一度チラシで包み、それをコンビニのレジ袋に入れた。
家の中に捨てたのでは、一美さんに気づかれる恐れがある。犯人が一美さんだとすれば、人形をゴミ袋から取り出して、もう一度首を切って、ベッドの下に入れるかもしれない。
沙樹はコンビニの袋をさらにトートバッグに入れ、部屋を出た。
「あら、お出かけ?」
台所のそばを通るときに、一美さんに見つかってしまった。
「あ……あの、ちょっと、コンビニへ行ってくるだけ」
どぎまぎして、言いつくろった。
「もうじき夕ご飯だから、あんまり遅くならないでね」
「……はい」
一美さんが無理に笑顔を作っているのが手に取るようにわかって、沙樹の返事はぶっきらぼうになってしまった。
コンビニに入ると、店内に設置されたゴミ箱に駆け寄った。
――家庭ゴミ持ち込みお断り
なんて書いた紙が貼ってあったが、かまうもんか。この店のレジ袋に入れてあるんだし。
店員が近くにいないことをさりげなく確かめて、紙くず用のゴミ箱に放りこんだ。