―――――――…


「それじゃあ、お先!」


放課後のSHRが終わると、里乃は急ぎ足で教室を飛び出した。

あの感じは間違いなくデートだろう。

羨ましく思いながら、荷物を抱えて図書室へと向かう。


“じゃーね”と友達同士で言葉を交わし、次々と校舎から出て行くみんなを横目に、ノロノロと下駄箱を通り過ぎる。


「ああ、やだな……」


その足取りは図書室へと近づくたびに、どんどん重くなっていく。

今引き返して逃げ出してしまえば、試験までの憂鬱な放課後は過ごさなくて済む。

それなのに、まるでそこへと引き寄せられるかのように、図書室の前までやってきてしまった。


そっと、ドアに手を伸ばす。


――ガラガラッ、


中に入り、図書室を見渡すと、一番奥の机に座る彼の姿が見えた。

ゆっくりと近づいて行く。