「……っ、そんなの信じられない!元カレだって始めはみんなそう言った。だけど……」


“千咲以外見えない”とか“お前以外要らない”とか……、そんなのウソばっかりだ。

どいつもこいつも所詮口先だけだ。


「今朝言ったこと、もう忘れたのかよ。今は信じられなくても、そのうち嫌って程思い知らせてやるって宣言したばかりじゃん」

と押さえつける手に力を込めた。


「そんなこと言われても……」

「千咲が好きだ。俺のこと好きになれよ」


何も言えなくなり、隆臣から顔を逸らす。

隆臣もそれ以上何も言わず黙っているだけ。


『夏目先生いるかな?』

『さっき呼び出されてたからどうだろう?』


しばらくの間、二人の間に流れた沈黙。

それを破ったのは廊下から聞こえて来た女子生徒の声。


「人来たみたいだな……」

隆臣が離れた時、ベッドのスプリングが軋む音が妙に大きく響いた。