「私、ちょっと席外すわね」


先生が保健室から居なくなると、ベッドまで近寄って行き、両手でカーテンを開ける。


「何だ、何だ?俺に会いに来たのか?」


寝ているかと思いきや、隆臣は横たわっていただけで。

私の顔を見るなりニヤついた。


「会いに来たんじゃない、弁解しに来たの!」

「弁解?」

「そう、弁解!私は別に篠宮くんのことが好きなわけじゃないから」


身を起こし、胡坐を掻いて座り直す隆臣にそう言った。


「……で?」

「“で?”って……?」


自分が訊かれているのに、質問を投げ返す。


「だから、何で弁解しに来たんだよ?」

「こういう勘違いって周りに広がったら色々と面倒なことになるでしょう?!だから本当のことを言いに来たの」

「ふうん……俺らの会話、盗み聞きしてたのか」


一瞬ギクッとしながらも“それが何か?”と、黙ったまま隆臣を見ていると、突然彼は鼻で笑った。