「いいの?勘違いされたままで」

「いいわけないじゃん!」


誤解を解こうと、隆臣の後を追いかける。

放っておけばいいと思ったが、それが間違った方向で知れ渡ってしまったら、それこそ面倒だ。


「……ていうかアイツ足早っ」


ノロノロと廊下を歩いているかと思えば、隆臣の姿は保健室がある1階へ降りても既に見えなかった。


「失礼します」


そっとドアを開けると、ディスクに腰掛けていた先生がこちらに顔を向けた。


「あら、高城さん」

「先生、柳隆臣来てますか?」

「来てるわよ」

とカーテンが閉められたベッドを指差した。


先生ものん気だな……

明らかに病人じゃないことぐらい分かっているはずなのに、普通に寝かしちゃうなんて。


[夏目先生、夏目先生。至急職員室までお越しください]


校内に流れた、目の前の彼女を呼ぶアナウンス。