「A組の篠宮環だよ。優等生で女に超モテモテのイケメン。まっ、俺らとは正反対の部類だわな」


ハハッと声をあげてその友達が言った。


「千咲の好きな男か?」


いや、違うから。

そう否定しようにもこの場に出て行くのは非常に気まずい。


「そうなんじゃね?」

と適当なことを言う。


だから、好きじゃないし!


「ふうん……俺のライバルに見合う男かどうか、今度偵察でもすっか」


そう言って隆臣は立ち上がると、


「昼飯食い終わったし、保健室で昼寝してくるわ」


ヒラヒラと手を振り、その場から立ち去った。


隆臣に気付かれぬよう、身を潜めて彼の後ろ姿を見送った。