“こっちゃん”とは、里乃の一番上のお姉さん・岡本 琴美さんのことだ。
呉服店に勤務していて和服美人という言葉がピッタリな綺麗で優しい人。
「マジ?社割って結構利くんでしょ?浴衣欲し――…」
“今日の放課後から図書室で勉強ね”
「……えっと、期末が終わるまで無理だ。勉強しないといけないから」
「えっ、千咲が勉強?」
割引券を受け取ろうとした手を引っ込めた私に、里乃がキョトンとする。
まあ、無理も無い。
彼女の前で“勉強”なんて言葉を口にしたのは初めてだからだ。
「悪足掻き?」
「悪足掻きでもいいからやるの!」
篠宮くんと約束しちゃったからやらざるを得ない。
「なんなら見て差し上げてもよくてよ?これでも一応学年3位ですから」
と鼻高々の顔。
「大丈夫。ひとりで出来る」
「ふうん、そう?じゃあ、浴衣の件はまた今度にしよ」
「ごめんね、里乃」
残念そうにそれをしまう彼女に手を合わせ
“ひとりで出来る”と嘘を吐いてしまったことに対して、申し訳ないと思いながら自分の席についた。
呉服店に勤務していて和服美人という言葉がピッタリな綺麗で優しい人。
「マジ?社割って結構利くんでしょ?浴衣欲し――…」
“今日の放課後から図書室で勉強ね”
「……えっと、期末が終わるまで無理だ。勉強しないといけないから」
「えっ、千咲が勉強?」
割引券を受け取ろうとした手を引っ込めた私に、里乃がキョトンとする。
まあ、無理も無い。
彼女の前で“勉強”なんて言葉を口にしたのは初めてだからだ。
「悪足掻き?」
「悪足掻きでもいいからやるの!」
篠宮くんと約束しちゃったからやらざるを得ない。
「なんなら見て差し上げてもよくてよ?これでも一応学年3位ですから」
と鼻高々の顔。
「大丈夫。ひとりで出来る」
「ふうん、そう?じゃあ、浴衣の件はまた今度にしよ」
「ごめんね、里乃」
残念そうにそれをしまう彼女に手を合わせ
“ひとりで出来る”と嘘を吐いてしまったことに対して、申し訳ないと思いながら自分の席についた。