「……じゃあ、篠宮くんだったら?」

「え」


何でここで、その名前?


「千咲の身近にいる人で真面目っていったら、篠宮くん以外思いつかないんだよねぇ」


ああ、そういうこと……


「千咲にとって篠宮くんってどんな存在?」

「どんなって……」


普段は爽やかで周りからも好かれる人だけど、

実際は毒舌でちょっと意地悪な二重人格男――…


って、これじゃあ質問の答えになってないか……


「別にそんなこと、考えたことも無い」

「考えたことが無いなら考えてよ」

「どこにそんな必要があんの」


考えるだけ、無駄なことだ。


「あ、そうだ。今日の放課後、時間ある?こっちゃんに社割貰ったから、新作の浴衣買いに行かない?」


つい今の今まで彼らのことを聞きたがっていたのに、すぐに食い下がって社割券を取り出す里乃。