――翌日


いつもより早く起床し、玄関先に突っ立って篠宮くんが通るのを待つ。


「珍しく早く出て行ったと思ったら、こんな所で何してんの」


後から出て来た愛美が冷たい目を向ける。


「人待ってんの」

「新しい男?」

「違うっつーの!いいから早く学校行きなって」


あしらう様に手をヒラヒラ振ると、愛美は無言で学校の方へと歩き出した。


「チィこそ早く学校行けよ」


大きな欠伸を一つ吐き、枢は自分の家の玄関のドアを閉める。

そして私の家の前までやって来ると、ポチャの前に座った。


「おはよう、ポチャ。今日もお前は元気だなー」

と枢は撫でながら笑う。


「枢、学校遅刻するよ?」

「ああ、分かってるって。じゃあな、ポチャ……って抜け毛激しすぎだろ」


立ちあがった枢が制服に付いた毛を掃い落していた時、家の前を篠宮くんが通りかかった。