「来るもの拒まず、去るもの追わず」

「へっ?誰が?」

「誰が……って……あんた以外誰が居んだよ」


――またか。

次から次へとよくもまあ、そんな噂を立ててくれちゃって……


「俺、今超溜まってんの。そしたらいいトコにあんたが現れたからさ」

「たまっ……?人をあんたの勝手な欲のために使わないでくれる?」

「何だ、ただの噂かよ。簡単にヤれると思ったのに期待はずれ~じゃあ、テキトーに女探すわ」


“テキトーに”って……


「泣きべそかいてんなよ」

「なっ……、かいてない!」

「気の強ぇ女は嫌いじゃねぇ。これからもよろしくな?千咲」


柳隆臣はハハッと乾いた声で笑いながら、その場から立ち去っていった。


「何なの、アイツ……」


ああ、不覚だ。

誰も居ないと思って油断した……