「へえ……ここが高城さん家か」


結局、彼の押しに負けて家の前まで送ってもらうハメになってしまった。


「案外、俺ん家から近いんだな」

「え?そうなの?」

「うん。少し先にある本屋の裏側のマンション」

「ふうん」

「通学路なのに、高城さんちだって気付かなかったよ。全然会わないし」


そりゃ、そうだ。

いつも学校行くのはギリギリだし、下校だって夜遅くならないと帰って来ないしね。


「……あれ?でもそこって南ヶ丘地区じゃん。でもアンタって南中(ナンチュウ)出身じゃないよね?」


同じ中学ならばその頃から存在を知っているハズなんだけど、一緒だった覚えがない。


「ああ、うん。前までは桜ヶ丘の方に住んでたから桜中出身。最近越して来たばかりなんだ」

「何だ。高校デビューなのかと思ったわ」