「えっ、ちょっと」


突然すぎてうまく状況が呑み込めていない中、ギュッと掴まれた腕の痛みだけは分かる。


「ほら、やってみたら?」

「は?やるって?」

「自分の身ぐらい自分で守れるってところ、俺に見せてよ」

「冗談はやめて!からかってんの?」

「からかってんじゃなくて、頭の悪い高城さんに教えてあげてるだけ」


クスッと鼻で笑い、篠宮くんは私の顔を見下ろした。


「離して!」


全身に力を込めて振り払おうとしても、さっきと同じように全然効き目などない。


「いくら女の子が強くたって、それは男からしてみれば全然たいしたことないんだってことが分かった?」

「……っ」

「分かったの?分からないの?」

「――分かったってば!送ってもらえばいいんでしょう?!だから離して!」


私がそう言うと、篠宮くんは満足気に笑みを浮かべて手を離した。