「8月になったら二人で山形の花火も観に行ってみる?」

「それって、いつも向日葵畑から観ていた大花火大会の?」

「きっとあの頃とはまた違って見えるよ」

「うん、そうだね」

「“そうだね”って意味分かって言ってる?」

「え?」

「せっかく行くんだし、日帰りは勿体ないじゃん」


環はそう言って耳元に唇を寄せた。


「何があっても、俺とどうなってもいいの?って聞いてんの」

「――っ、バカっ!」


環と一緒に居たら、いくら心臓があっても足りない。


私はこんなにもドキドキしているのに、

環はいつも余裕の笑みを浮かべて笑うんだ。


だけど、もっともっと好きにさせてほしい。


環のことしか見えなくなるぐらい、

他のことを考える余裕がないぐらいもっと――…


「まあ、嫌って言われても俺はこの手を離す気はないからね」

「今までのクールなキャラは何処にいったのよ」

「そのクールキャラが嘘で、こっちが本当の俺だったら?」

「やっぱり好青年を演じてたわけ?」

「さあ、どうだろね?でもそんなの、今の俺らにはもう関係ないっしょ?」


うん、そうだね。


どんな君でもきっと、

私は恋に落ちる運命だった――…



「俺のこと、もっと知りたいなら教えてあげてもいいよ?」




END