「冗談とか失礼じゃない?彼女に対しても、俺に対しても」


そう言って繋いでいた手をさらにギュッと握る。


「行こう、千咲」


環はそのまま私の手を強引に引っ張って、神社の奥へと進んでいった。

振り返ると、彼女たちは茫然と立ち尽くしたままこっちを見ている。


「いいの?あんな言い方……」

「いいんだよ。こっちは大まじめだっつーの」


見たこともない剣幕で、環は苛立ちを露わにする。

環でもこんな顔するんだ……


「絶景スポットらしいから、ここで観よう」


環は高台までやってくると、空いているベンチに座った。

私もベンチの椅子についた砂埃を掃い、そこに古紙を下ろした。


「絶景って言われるだけあって、カップルだらけだね」


周りを見渡しながら、肩を組んだり手を繋いだりしている他のカップル達を観察する。


「少しは落ち着いたら?」

とそんな私を鼻で笑う。


さっきまでは普通だったのに、こういう場所へやってくると周りが周りなだけに緊張が高まる。