「あ、彼氏来た!」


里乃はそう言うと、逃げるように彼氏の元へと駆け寄って行った。


「そんなに楽しみだったの?今日」

「――ッ、うるさい!」

「やっぱり素直じゃないのは千咲の方だね」


ああ、もう!

里乃の阿呆!


「あれ?もしかして篠宮くんじゃない?」


「あ、本当だ!篠宮くんだ!」


“今度は誰よ?!”と声をかけてきた二人組の彼女に目を向けると、同じ学年の子達だった。


「篠宮くんと会えるなんて超嬉しい!」

「良かったら一緒に回らない?」


私が居ることに、まるで気付いていない様子。


「悪いけど、彼女と一緒だから」

「え……彼女?」


環がすぐさま断ると、その視線は隣りに居た私へと向けられた。


『彼女って高城さんが?』

『何かの冗談?』


信じられない、と疑いの目。