「普通の人ならしないだろうね」


そんな真顔で言われても、返す言葉がないんだけど。


だけど、私の気付かないところで環がそこまで色々と考えながら、自分のことを気付かせようとしていたことを知って、ちょっと可愛いなと思った。

嬉しいなとも思った。


“強がってないで“怖かった”って素直に言えば?”


「素直じゃないのはどっちよ」

「さあ?」


“ひねくれ者だね”


「ひねくれ者なのは環の方でしょ?」

「お互い様なんじゃない?」


そんな会話を繰り返しながら、私達は神社へと向かった。


神社に着くと、既に人で溢れかえっていた。


「千咲!篠宮くん!」


神社の鳥居の前で一人立っていた里乃が走ってくる。


「一人で何してんの」

「いや、彼氏待ち。電車がこの祭りだから遅れてるみたいでさ……二人はもちろんデート?」


ニヤニヤと薄気味悪い笑顔を浮かべながら、里乃が言う。


「篠宮くん、今日の千咲凄く可愛いでしょ。デート凄く楽しみにしてたみたいで、浴衣選ぶ時ずっとニコニコしてたんだから」

「ちょっ、里乃!」


余計なことを喋るなっ!